今シーズンのメリノウールストールの染色を担当している京都の「染工房 藍生」を、昨年の秋に初めて訪問しました。工房の中に入ると、乾燥した植物の束が天井から吊るされていて、独特の草の香りがしました。その日に見たものが、植物染料についての私の理解を変えました。
植物染料とは何か ¶
植物染料は、植物の葉・茎・根・樹皮・実などから抽出した色素を使って繊維を染める方法です。藍、茜、柿渋、クルミの殻など、日本では古くから使われてきた素材が多くあります。「染工房 藍生」では、国内産の植物を中心に使い、一部はインドや中央アジアから輸入した素材も使っています。
化学染料との違い:発色と堅牢度 ¶
化学染料は発色が鮮やかで、色の再現性が高く、大量生産に向いています。植物染料は発色が穏やかで、同じ植物を使っても季節や産地によって色が変わります。堅牢度(色の落ちにくさ)は化学染料の方が一般的に高いですが、植物染料も適切なケアをすれば十分な耐久性があります。
経年変化:使い込むほど色が落ち着く ¶
植物染料の最大の特徴は、経年変化の美しさです。最初は少し濃い目の色が、洗濯と使用を重ねるうちに落ち着いたトーンに変化していきます。この変化は均一ではなく、よく触れる部分と触れない部分で微妙に異なります。それが「自分だけの色」になっていく過程です。「染工房 藍生」の藍生さんは「10年後の色が一番好きです」と言っていました。
植物染料アイテムのケア ¶
植物染料で染めたアイテムは、最初の数回の洗濯で少し色が落ちます。初回は単独で手洗いし、他のものと一緒に洗わないことをお勧めします。洗剤は中性のものを少量使い、すすぎは十分に行ってください。直射日光での乾燥は色褪せを早めるため、陰干しが基本です。
植物染料の色は、最初から完成していません。使い込むほど、その人の色になっていく。そういうものを扱いたいと思っています。今シーズンのメリノウールストールは、今シーズンのコレクションページでご覧いただけます。